
ブライアン・メイ公式インスタグラムより。2020年1月公演のための来日時、東京で開催されていたクイーン展覧会にロジャーとともに訪れた際のフレディ像との記念写真撮影の様子。
ブライアン・メイが、BBCレディオ5ライヴのポッドキャスト番組『How Do You Cope』で、フレディの死後に制作したクイーン1995年のアルバム『Made in Heaven』について語りました。
メイは、同作がクイーンのアルバムの中で一番好きだとしつつも、初めてフレディが参加しなかったアルバムの制作が、トラウマになる経験だったと語っています。
「あれはとても奇妙で、トラウマになる経験だった。僕は、何時間も何日も何週間もかけて、少しずつフレディのヴォーカルに取り掛かり、一日中そして一晩中、彼のヴォーカルを聴いていたんだ。『これは素晴らしい……最高だよ、フレ……ああ、キミはもういないんだ』そう思う瞬間があってね。
制作はかなり大変で、時にはそこから離れて回復し、また戻ることが必要だった。でも、フレディが僕らに残してくれたものから最後の一滴を搾り取ることに、大きな誇りと喜びを感じていたんだ。
僕は今でもあのアルバムが大好きで、一番好きなクイーンのアルバムだと思う。とても深いものがあるし、純粋に輝くゴールドなんだ」
また、フレディを喪った悲しみから立ち直る手段として、メイとロジャー・テイラーがソロ・プロジェクトに取り掛かったことについても語りました。
「ロジャーと僕は、通常のプロセスを経て悲しみを乗り越えたと思うけど、公にしなければならなかったソロ・プロジェクトが強調されて、『僕らはクイーンをやったけど、今は他の事をやってるんだ』みたいに否定的になってしまった。
僕らはソロ活動に没頭し、クイーンについて話したくなかった。僕らは人生の半分をクイーンのために費やしていたから、そんなことは馬鹿げたことなのに。僕らはただ悲しみを忘れるために逆のことを過剰にして、それが長く続いていたんだ。
僕は、ソロのステージでジョン・レノンの「God」の歌詞を変えて、“I don’t believe in Queen anymore(もうクイーンは信じない)” とまで歌うようになってね。あれはかなりの過剰反応だったよ。そんなことする必要なんてなかったのに。僕は、当時の悲しみに直面できなかったんだ」
「フレディの死は、兄弟を喪ったようなものだったけど、同時に世間の注目も浴びるようになった。
僕らは、フレディの死に公然と注目しなければならない無限の輪に引きずり込まれたようなもので、だから僕は彼の命日になると姿を隠したくなるんだ。
世間では、フレディの命日を記念するけど、僕はそうしたくないし、出来るとも思わない。彼の誕生日や初めて会った日は祝うだろうけど、彼の命日を頭の中で整理できるなんてありえないんだ。それについては、何一つ良いことがなかったからね」