ザ・バンドのロビー・ロバートソンが80歳で死去

https://youtu.be/ph1GU1qQ1zQ

ザ・バンド(The Band)のリード・ギタリスト/ソングライターのロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)が8月9日、80歳で死去しました。

マネージャーが訃報を伝えており、ロバートソンは長い闘病生活の末、ロサンゼルスにて家族に見守られながら亡くなったそうです。ロバートソンは最近、マーティン・スコセッシ監督の映画『Killer of the Flower Moon』(10月公開予定)の音楽プロジェクトを完成させたばかりでした。

1943年にトロントで生まれたロバートソンは、カナダの先住民保護区(Six Nations of the Grand River Riserve)に住むモホーク族の母方の家族から音楽を学び、10代の時にトロントでロニー・ホーキンスと出会い、1958年にホーキンスのバック・バンド、ザ・ホークス(The Hawks)に加入しました。

ホークスは、1963年までホーキンスのバックを務めていましたが、ロバートソンがボブ・ディランのアルバム『Blonde On Blonde』にギターで参加したことを機に、1965年からディランのバック・バンドになり、1968年にホークスからザ・バンドに改名しました。


ザ・バンドは、1968年にデビュー・アルバム『Music From Big Pink』を発表し、同作にはロバートソンが書いたバンド最大のヒット曲「The Weight」や、ディランが共作した「Tears of Rage」(邦題「怒りの涙」)、「This Wheel’s on Fire」(「火の車」)、ディランの曲「I Shall Be Released」が収録され、ゴールド・ディスクに認定されました。

翌1969年の「ウッドストック・フェスティバル」に出演したバンドは、同年セカンド・アルバム『The Band』を発表、1970年のサード・アルバム『Stage Fright』と1972年の『Rock Of Ages』も高く評価され、この3枚もプラチナやゴールドに認定されましたが、1973年の『Moondog Matinee』以降、メンバーのドラッグ問題やロバートソンのソングライティング・クレジットを巡って亀裂が生じ、1976年11月25日にサンフランシスコのウィンターランド・ボールルームでフェアウェル・コンサート「The Last Waltz」を行なった後、ザ・バンドは解散しました。

このコンサートには、ボブ・ディランやエリック・クラプトン、リンゴ・スター、マディ・ウォーターズ、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェルをはじめとする豪華ゲストが出演し、マーティン・スコセッシ監督の下、1978年にドキュメンタリー映画『The Last Waltz』として公開され、3枚組LPのサウンドトラックとしてもリリースされました。

ロバートソンは、解散後もバンドのメンバーとサイド・プロジェクトなどで活動を続けていましたが、80年代と90年代のザ・バンド再結成には参加せず、1987年から6枚のソロ・アルバムをリリースし、2019年の『Sinematic』が最後のアルバムになりました。

また、ニール・ダイアモンド1976年のアルバム『Beautiful Noise』のプロデューサーを務め、同作に収録された「Dry Your Eyes」を共作したほか、トム・ペティやリンゴ・スター、坂本龍一らのアルバムにゲスト参加し、映画『The Last Waltz』で関係を築いたマーティン・スコセッシ監督の『Raging Bull』『Casino』『The Wolf of Wall Street』『The Irishman』などに音楽を提供していました。

なお、ザ・バンドは1994年に「ロックの殿堂」入りを果たし、ロバートソンは2003年にカナダの「ウォーク・オブ・フェイム」に名前が刻まれ、2008年にザ・バンドと共に「グラミー賞生涯功労賞」を受賞、2011年にカナダの「ソングライターの殿堂」入りを果たしました。

2016年には自叙伝『Testimony』(邦題『ザ・バンドの青春』)が出版され、同書に基づくドキュメンタリー映画『Once Were Brothers:Robbie Robertson and The Band』が、2019年に公開されています。

安らかなる眠りをお祈りいたします。