ロジャー・テイラー、「クイーンとデヴィッド・ボウイがカヴァーしたクリームの音源があるかも?」

1981年、クイーンとデヴィッド・ボウイはスイスのスタジオでセッションを行ない、彼らのコラボ曲「Under Pressure」はここから誕生しましたが、ロジャー・テイラーは『Record Collector』の特集号で、同セッションでクリームの曲もジャミングしていたと語りました。

「あのセッションでは、頭に浮かんだいろんな昔の曲も演奏してたんだ。アーカイヴを探せば、その時の音源があるんじゃないかな。面白半分にクリームの “N.S.U.” と “I Feel Free” をカヴァーしたのを覚えてるよ。その後で、自分たちのために曲を書こうって決めたんだ」

その曲こそが「Under Pressure」で、同曲は1981年10月26日にシングルとして発売され、UKシングル・チャートではNo.1ヒットになりましたが、アメリカでは29位に終わりました。その後、この曲はクイーン1982年のアルバム『Hot Space』と、『Greatest Hits』のUS盤に収録され、ボウイのアルバム『Let’s Dance』の1995年リマスター版にもボーナス・トラックとして収録されました。

また、ボウイが1993年に発表したスタジオ・アルバム『Black Tie White Noise』には、ボウイがミック・ロンソンとカヴァーしたクリームの「I Feel Free」が収録されており、ボウイがこの曲を気に入っていたことが伺えます。

1981年のセッションは、たまたまクイーンとボウイが同時期にスイスにいたことで実現し、メイによると、「Under Pressure」が具体化し始めたのを機に焦点が定まったのだそうです。
「まずはこの曲が最優先になったんだ。それ以外のスケッチはほとんどなかったね」

このセッションでは、シングル「Radio Ga Ga」(1984年)のB面に収録された「I Go Crazy」にも着手していますが、メイ曰く、この曲はセッションでのヴァージョンとはかなり異なる結果になったそうです。

また、メイが2017年に「Radio X」のインタヴューで語ったところによると、このセッションは必ずしも順調に進んだ訳ではなく、当時34歳だったボウイと35歳のフレディには意見の対立があったそうです。
「僕ら全員が精神的に早熟で、デヴィッドがかなり強引だったから楽じゃなかったよ。スタジオに一番遅く来るのは誰だとか、フレディとデヴィッドは間違いなく衝突してたからね。あのセッションは、素晴らしかったけど不快でもあった。それに、セッションでやったことの全てが日の目を見た訳じゃないから、考えるところもあるんだ。でも、今は嫌なことよりも素晴らしかったことを覚えているし、二人が火花を散らしたから、素晴らしい結果になったと思ってる」