
ついに本日から、3日連続での配信が始まるドキュメンタリー映像シリーズ『ビートルズ:Get Back』。公式書籍『ビートルズ:Get Back』を発売している弊社としてはどこよりも先にレポートを出さねば!ということで、約7時間半、じっくり鑑賞いたしました。以下、詳細リポートをどうぞ。
『ザ・ビートルズ:Get Back』最速詳細レポート
全世界の音楽ファンが待ち焦がれた、ピーター・ジャクソン監督による時空を超えた《ライヴ・ヴューイング・ショー》『ザ・ビートルズ:Get Back』がいよいよ配信公開される。
未公開映像を含む貴重なリストア映像で構成された本作は、オリジナル・ドキュメンタリー・シリーズとして、11月25日(木)・26日(金)・27日(土)、ディズニープラスにて3話連続独占見放題で配信スタート!
エピソード1〜3はそれぞれ、@157分、A173分、B138分という長尺で、トゥイッケナム・フィルム・スタジオ〜アップル・スタジオ、アップル・ルーフトップという、1969年1月に行なわれたビートルズのリハーサルからレコーディング、伝説のライヴまでを克明に捉えた映像は、ビートルズ・マニアだけでなく全ての音楽ファンにとって必見の作品となっている。
「レット・イット・ビー」から「Get Back」──諦観から復活への半世紀
マイケル・リンゼイ=ホッグ監督による映画『レット・イット・ビー』は、すでに解散が事実となった1970年5月に公開された。そのためか映画の中でのメンバー間のちょっとした対立も、当時から解散との関係で語られることが多かった。今回の『ザ・ビートルズ:Get Back』は、全く同時期1969年1月の四人の姿を捉えた素材のすべてから、別の物語を紡ぎ出したものだ──と7時間半以上に及ぶ映像を観て感じた。
解散という結果を知っている者にとって、物語が進むことは待ち構える結末に近づくことだ。どう抗っても時間は戻らない、それはわかっている──。ではなぜこの作品が製作され、それを観たいと思うのか、それは、“実際に何が起きていたか” という “ことの顛末” を知りたいからだ。
教会のパーティで初めてジョンとポールが顔を合わせてから約10年。その最終コーナーを廻り始めた1969年の1月に起こるメンバー、スタッフ間の様々な人間模様が細かに捕らえられたドキュメント・ムービー『ザ・ビートルズ:Get Back』、それはビートルズの “ことの顛末” だ。
うすら寒いトゥイッケナム・フィルム・スタジオで黙々と互いの曲の素材を披露しながら作品として作り上げようとする4人。自作はもちろん他人の曲にも細かいアレンジやコーラスに口を出すポール、突如ロックンロール・スタンダードや自作曲で割り込むジョン、合間をみてひっそりと自作曲を歌うジョージ、そして発言は数えるほどしかないが、どんな曲が来ても全てに適切なドラミングでビートルズと一聴して分かる風味をブレンドし形を整えるリンゴ。
しかしその創作の現場に、撮影のアイディアやスケジュールやビジネスといった現実が割り込み、かき乱された空気は4人の調和を乱していく──。話には聞いていたが、そういった状況の中で起きた “ことの顛末” であったことを、丁寧に修復された映像や会話で知ることができ、半世紀の間喉の奥に痞えていた骨がとれたような、どこかホッとした安堵感に心が満たされる。
環境の変化が創作に与える影響の大きさを痛感させたのが、寒くだだっ広いトゥイッケナム・フィルム・スタジオから、自らの新たなホーム・グラウンドになるべきアップル・コア地下のスタジオに移ってからのメンバーの生き返ったような表情と悪ふざけっぷりだ。Tシャツ姿など思い思いの軽装でジョークを飛ばし合う4人、楽曲も生き生きとした表情を見せていくバンド・マジックの復活。それは見事な触媒となったビリー・プレストンのセッション参加で一気に爆発する。ボトムを支える安定感、なによりジョージの解放感に満ちた表情が心地よい。そして日程が詰まる中、スタッフとメンバーが見出した “コンビニエントな場所” アップル・ビルの屋上でのライヴが決まる。伝説のルーフトップ・コンサート。
寒風吹きすさぶ1月のロンドン、屋外での演奏にとっては最悪ともいえる条件。しかし9台のカメラで捕らえられたノーカットの映像の中の4人はそんなことは微塵も感じさせずに分厚いサウンドとヴォーカル、そしてビートルズのビートルズたる所以のコーラスを聴かせる。月初のトゥイッケナムでは無目的とも思える弛緩した楽曲が、見事なバンド・サウンドで本来の姿を取り戻す。
1970年、マイケル・リンゼイ=ホッグ監督による『レット・イット・ビー』、そして51年後のピーター・ジャクソン監督作『ザ・ビートルズ:Get Back』。“Let it be” から “Get Back”……、諦観から復活へ──は言い過ぎだろうか、アップル・スタジオでのバンド・マジック、ルーフトップでのライヴ・パワー。それがあったから、それを実感したからこそ、その後ポール・マッカートニーはジョージ・マーティンに再度プロデュースを願い、かの名作『アビイ・ロード』が生まれたのではないか。物語の結末を知ってはいても、そこに至るまでの道行があるからこその結末。『ザ・ビートルズ:Get Back』はそんなビートルズの“ことの顛末”の詳細をじっくり観せてくれる。
井口吾郎(シンコー・ミュージック)
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【ザ・ビートルズ関連情報】
ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』
11月25日(木)・26日(金)・27日(土)ディズニープラスにて全3話連続見放題で独占配信スタート
伝説のロック・バンド、ザ・ビートルズの3日連続6時間の時空を超えた《体験型ドキュメンタリー・エンターテイメント》が、ディスニープラスで独占配信。
巨匠ピーター・ジャクソン監督によって、“Get Back(復活)” を掲げて集まった4人が名盤『レット・イット・ビー』に収録される名曲の数々を生み出す歴史的瞬間や、ラスト・ライヴとなった42分間の“ルーフトップ・コンサート” が史上初ノーカット完全版として甦る。
解散後、半世紀を超えて明かされる衝撃の真実とは?
監督:ピーター・ジャクソン
出演:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター
ディズニープラス『ザ・ビートルズ:Get Back』をディズニープラスで楽しむには
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン © 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:Disney.jp/thebeatles
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